Fanfiction 二次創作|Junkkits

カヴァロ解放

day10-3

「父さん、どこへ行ったのかしら…。」
アヴィンとマイルに先立って、レイチェルがきょろきょろしながら歩いていた。
広場を横切っていくと、街区の方からグレイが声を掛けてきた。
「アヴィン、レイチェル、こっちだ。」
「ああ、今行く。」
アヴィンは片手を上げて合図すると、隣のマイルを見た。
「じゃ、頑張れよ、マイル。」
「うん。アヴィンもレイチェルも気を付けてね。」
「マイルもね。」
三人は二手に分かれた。

「まずは東口だ。連中、警戒しているぞ。」
ドルクが言った。
アヴィンにレイチェル、そしてドルクとグレイの四人は、住宅街を抜けて東側の入り口に着いた。
建物の影から覗き込むと、兵士たちは油断しない様子で周囲を見張っている。
「こちらから先に攻撃していいのか?」
アヴィンが聞いた。
「いや、話し合いが先決だ。戦わずに済むならその方がずっといい。」
グレイが答えた。
「一斉に出て取り囲むぞ。話は俺たちがする。」
ドルクが他の三人に声を掛けた。
「わかった。」
「ドキドキするわ。」
レイチェルが胸に手を当てて深呼吸した。

「な、何だ、お前たち!」
東の出入り口を取り囲んだアヴィンたちに、見張りの兵士は剣を構えて威嚇した。
見張りは三人。こちらの方が一人多い。
「俺たちはカヴァロを解放するレジスタンスだ。あんたたちが投降するなら危害を加えるつもりはない。武器を捨ててくれないか。」
ドルクが兵士たちに言った。
「馬鹿な事を言うんじゃない!」
兵士たちは声を荒げた。三人とも武器を構え直した。
「そうか。それじゃしょうがないな。」
グレイはそう言うと腰の剣を抜いた。
「悪いけど、市庁舎に援護を求められちゃ困るんでな。覚悟してもらおうか。」
「ひっ!」
グレイの正面にいた兵士が顔を引きつらせた。
「俺にやらせてくれ。」
ドルクとグレイの後ろからアヴィンが主張した。
「何だ?」
グレイが振り返った。
「魔法でダメージを与えるんだ。その方が、命の危険が少ない。」
アヴィンは愛用の剣を身体の前に水平に構えた。
「手加減できるのか?」
「まあな。」
魔獣相手に放つのとは違うんだから。
アヴィンはそう自分に言い聞かせながら、水を操る魔法を唱えた。
「アクア・スプラッシュ!」
どこからともなく現われた水球が、兵士の一人にぶつかって、派手な音を立てて壊れた。
水の圧力に押された兵士が、バランスを崩して地面に転がった。
すかさず、アヴィンは兵士に飛びついて押さえつけた。
あわてて駆け寄ろうとした二人の兵士には、レイチェルがナイフの雨をお見舞いした。
身体すれすれに投げつけられたナイフに、兵士の足が止まった。
「私たちに勝とうなんて、考えてないでしょうね?」
にっこりと笑う笑顔は、とてつもなく恐ろしかったに違いない。
残った二人の兵士は背中を合わせるようにして立った。
「さっさと武器を捨てて投降しろ!」
畳み掛けるようにグレイが言った。
「そ、そんな事が出来るかーっ!」
こちらを向いていた兵士が、闇雲に突っ込んできた。
「おっと。」
グレイは正面から受けてたった。
二人の剣が、強い衝撃に派手な音を立てた。
「ぬうう。」
兵士とグレイは力比べのように力を込めて剣を押した。
「なかなか…やるな。骨のある奴がいるんだな。だが、俺の敵じゃない!」
グレイが兵士の剣を弾き飛ばした。
自分の剣も地面に放り投げ、グレイは兵士に飛び掛った。
「お前も観念しな!」
ドルクが残る一人の懐に飛び込んだ。
「うっ、うわーっ。」
兵士は固く目をつぶって後ずさった。
剣を構えていても何の役にも立たなかった。

武器を奪われ、うなだれた三人の兵士を、ドルクが手際よく後ろ手に縛った。
「どうする?こいつら。先に引き渡してくるか?」
「引き渡すって、何処へ?」
アヴィンが聞いた。
「ヌメロス大使館だ。あそこが捕虜の収容先になってるはずだ。」
ドルクが答えた。
「三人も引っ立てていくなら、しばらくここを離れることになるぞ。」
グレイはそう言って、高架水路への階段を見た。
階段を上って、また降りていった先にカヴァロの西側への出入り口があるのだ。
「西口の見張りが騒ぎに気付いたら、絶対こっちへ戻ってくる。先に西口も押さえた方がいい。捕虜は後でまとめて連れて行こう。」
「誰か、ここに残らなきゃならないだろ。」
アヴィンが言った。
「女の人には危険だよな…。」
ドルクがレイチェルを見て言った。アヴィンが申し出た。
「俺が残ろうか?」
「いや、アヴィンには来て貰いたいな…。」
「それじゃあ、わしが見ているよ~ん。」
不意に後ろから声がかかった。
「父さん! どこへ行っていたのよ。」
振り返ったレイチェルが腰に手を当ててシャオに怒鳴った。
「市庁舎を見張っていたよ~ん。橋の辺りで押し問答になっているよん。こちらは手早く片付けて、応援に行ったほうがいいと思うよん。」
そう言うと、さっさと捕虜になった兵士たちの縄を取り、愛用のハンマーを持ってにらみを効かせた。
「大丈夫か、オヤジさん。」
「わしに任せてちょうだい。」
シャオはもう任されたつもりになっている。
「ずるいわ、父さん。」
レイチェルが不満顔で言ったが、今、シャオが一番適役なのは、認めないわけにはいかなかった。
「よし、それじゃあ任せた。俺たちは行こうぜ。」
グレイが声を掛けた。
四人は西側へ続く階段を一目散に登っていった。

『あ、アヴィンたちだ。』
高架水路に身を潜め、眼下の市庁舎前の様子を伺っていたマイルは、ちらりと市庁舎の裏側を走り抜けていった人影に目を奪われた。
『東の入口は解放したんだ。』
彼らが向かって行ってから、まだそんなに時間は経っていない。
どうやら向こうは順調のようだ。
マイルは水路の下を見下ろした。
広場と市庁舎を結ぶ橋の中央に、武装したヌメロス兵が二人、いや三人立っていた。
広場の方にはロッコとラテル、それにスタンリーやトムソンらが市民との間に立ち塞がっている。
ロッコたちが赴いた事で市民たちは勢いを得たのかもしれない。
おずおずと遠巻きにしていたのが、今は押さんばかりに近付いている。
時々「ウェンディを返せ!」という叫び声も聞こえていた。
「こう人が多くちゃ、ブーメランは役に立たないな…。」
マイルは苦笑しながらも高みからの監視を続けていた。


西の入口は広場から遠く離れている。
そのせいか、市庁舎前の騒ぎには気付いていないようだった。
三人の見張りたちはのんびりしていたが、高架水路の取り入れ口からアヴィンたちが駆け下りてくると、ギョッとして警戒を露わにした。
「何者だ!」
「武器を捨てろ!俺たちはカヴァロの解放レジスタンスだ。」
グレイが叫んだ。
見張りの兵士は互いに顔を見合わせた。
突然の事に戸惑いを隠せない様子だった。
「抵抗しなければ傷付けるつもりはない。」
そう言うグレイの片手は、いつでも剣を抜けるように腰にあった。
アヴィンはグレイとドルクの後ろで、黒魔法の気を高めていた。
その後ろでレイチェルが、いつでもナイフを投げられるよう待機していた。
「さあ、武器を捨てるんだ。」
ドルクが一歩前に出た。
兵士たちは一斉に剣を抜いた。
「…聞いてもらえないのか?」
ドルクが問い直した。
「ここを明け渡すわけにはいかない!」
兵士たちはじりじりと間合いを取りながら答えた。
グレイがアヴィンを振り返った。
「ドルク、伏せてろ!エアリアル・ラブリス!」
魔法の起こしたつむじ風が、兵士たちを打ちのめした。
ドルクは倒れた兵士を押さえつけ、剣をもぎ取って放り投げた。
グレイも兵士に飛びかかった。
遅れてアヴィンも最後の一人に対峙する。
一瞬の遅れが、再び兵士に剣を構えさせていた。

アヴィンも自分の剣を構えた。
こちらから踏み込み、勢いに任せて剣を合わせる。
兵士は身体も思うように動かせないのだろう。すぐに防戦一方になった。
「あっ!」
兵士の剣が弾き飛ばされた。
「さあ、抵抗をやめるんだ。」
アヴィンが気迫で迫ると、兵士は悔しそうに歯を食いしばってその場にうなだれた。

「あんたたち、カヴァロの人かい?」
戦いを見ていたのだろうか。
決着がついたと見て、よろずやのおじさんが駆けて来た。
「解放レジスタンスさ。この入口は取り返した。市内ももうすぐ奪還する。」
ドルクが答えた。
後ろ手に縄をかけられた兵士が、悔しそうにドルクを睨んだ。
「そうか!」
おじさんの顔がぱっと明るくなった。
「あんた、近くの村にひとっ走りして、食料を届けてくれるように頼んではくれないか?」
グレイが頼み込むとおじさんは頷いた。
「いいとも。すぐに知らせてやるよ。」
他にも街の外で待っている人がいるのだろうか。
よろずやは急ぎ足で街道の方へ戻っていった。
「よし、広場へ戻ろう。」
グレイが言った。


「東口と西口は取り返したぞ。」
人を掻き分けて市庁舎前にたどり着き、グレイがロッコに耳打ちした。
「ご苦労様。」
ロッコがねぎらった。
「西口にいたよろずやに、近くの村へ食糧援助を頼んだ。」
「そうか。東へも人をやらなくちゃな。」
「市長に頼むんだったな。俺が言ってくる。」
「ああ、頼むよ。」
グレイは再び人垣を抜けた。
広場の向こう側を、捕虜を連れてドルクたちが歩いていた。
うなだれた兵士たちに少し同情しながら、グレイは国際劇場へ向かった。

ヌメロス大使館はカヴァロの市民に見張られていた。
捕虜を連れて建物へ入ると、中では大使が待っていた。
「今までよくやったお前たち。カヴァロ市長から命の保証は取り付けている。安心するが良い。」
敗軍の将を装って、大使は一人一人にねぎらいの言葉を掛けていった。
兵士は皆一様にホッとしていた。
「懐柔されるのも時間の問題だな。」
安心した様子の兵士たちを見て、ドルクが言った。
「ああ、そうだな。」
アヴィンはドルクの横顔を見やった。


「第一段階は成功したようだね。」
しばらくして、グレイたちや秘書官らと共に、デミール市長が市庁舎前へやって来た。
「次は私の番だね。」
デミール市長は落ち着いた様子で言った。
「はい。」
ロッコは答えた。
「市民に話をされますか?」
「うむ。食料の話はしなくていいだろう? 私たちは無事にウェンディを取り戻したいんだ。」
「そうですね。」
ロッコは静かに答えた。
「無駄に不安を煽る事はないでしょう。今広場に集まっている人の熱意はとても大きなものです。彼女を無事に助け出したら、この勢いを借りて市庁舎を取り返したいです。」
「もちろんだ。頑張ろうではないか。」
デミール市長が答えた。

「カヴァロ市民の皆さん!」
大急ぎであつらえた演台の上で、デミール市長が第一声を発した。
「ヌメロス軍は、我々を木人兵の脅威から守るためにカヴァロに来たと主張しました。一時は我々もその主張を受け入れました。ヌメロス軍の滞在を許しました。しかし!」
かつて市長選を争っただけの事はある、人を惹きつける話し振りだった。
「彼らは、我々の大切な誇りであるカヴァロ三重奏の一角を、市庁舎へ閉じ込めてしまいました! 歌姫ウェンディに、何の過失がありましょうや? 彼女は市民のために、ヌメロス兵士のために、毎夜歌っていたというのにです!」
「ウェンディ!」
「ウェンディを返せ!」
大きな、掛け声とも悲鳴ともつかない声が市民たちからあがった。
「…すげえ。」
グレイがぽかんと口を開けた。
「適所適材と言うが…、ご自分の役どころを心得ておられるな。」
ロッコが感心した様子で言った。
「今や、ヌメロス軍の真の目的が明らかになりました。彼らがこれ以上カヴァロを蹂躙する事を許してはなりません! 皆さん、私は戦います! ヌメロスのいない平和なカヴァロを取り戻します!」
「おおーっ!」
市民は、今や一つの大きな意思の塊となった。
「皆さん、お静かに!」
デミール市長がが呼びかけるとざわめきが静まった。
「今一度、ヌメロスにウェンディ解放の意思を尋ねます。どうか、短気に走って暴力に訴えないように願います。」
デミール市長は演壇を降りた。

「素晴らしい演説だったわ。」
デミール市長にメリトス女史が声を掛けた。
「いや、とんでもない。」
デミール市長は謙遜した。
「幾つかつてを当たってきたのですけど、体よく断られてしまいましたの。誰も面と向かってゼノン司令に立ち向かおうとはしませんわ。」
メリトス女史は肩をすくめた。
「自分たちの事は自分で決着をつけなくてはだめね。」
「気付いて良かったではありませんか。さあ、もう一度ゼノン司令を揺さぶってみましょう。」
デミール市長は用意していた書状を取り出し、市庁舎へ向かった。

「ヌメロス軍ゼノン司令にご面会を申し入れる。」
デミール市長は橋を守っている見張り兵に書状を渡した。
「我々は、市の東西の出入り口を奪還した。あなたたちにはもう行き場がないのだ。すみやかにカヴァロから南下し、沼地より海上に退去していただきたい。その際ウェンディは市庁舎へ留め置くようお願いしたい。」

市庁舎の中では、兵士たちが表の様子を固唾を飲んで見守っていた。
「くそ、あいつら、図に乗りやがって!」
ワリスは散々悪態をついていた。
しかし一般兵たちは一緒に怒るどころか、ワリスの様子を迷惑そうに眺めているだけだった。
執務室のゼノン司令も、腹の中は不満で煮え繰り返っていた。
ただの市民たちにこうまで押されてしまう、自分の持ち駒への不満だった。
この混乱の中カヴァロを離れたら、遠からずこの街は市民たちに取り返されてしまうだろう。
では明日の予定を反故にするか?
ゼノン司令さえいれば、兵士たちもそれなりの働きはするだろう。
しかし、皇帝陛下からの命令は絶対のものである・・・。
ゼノン司令は心の中でカヴァロを手放す不始末と、皇帝の命令に従った場合の手柄の重さとを天秤にかけていた。
ゼノン司令は届いたばかりのデミール市長の書状を見つめた。
「南下して沼地へ退去せよか…。ふむ。」

ゼノン司令からの返事が、デミール市長に届いた。
「ご返答申し上げる。ゼノン司令は、貴殿にお会いする必要はないとの事だ。本日拘留している娘については、先のご返答通り、明日改めてご連絡させていただく。」
「なんと!」
デミール市長は怒りを露わにした。
伝言を伝えに来た兵士が、苦い物を飲んだような顔をした。
「ゼノン司令は貴殿の主張に心を痛めておられる。カヴァロ市民の平和のために我々が駐屯している事をぜひ思い起こしていただきたい。すみやかに市民を解散させられたし。以上だ。」
伝言を言い終えると、兵士はそそくさと市庁舎へ戻っていった。
「ウェンディを返せ!」
「おまえたちは出て行け!」
兵士の後ろ姿に、市民たちから罵声が浴びせられた。
「よせ、静まれ!」
グレイや市の職員たちが市民をなだめにかかった。
「ううむ、あちらも一筋縄では行かないな。」
デミール市長はロッコを手招いた。
「どうするかね? 人質のいる状況で強行突入はしたくないのだが。」


『逃げて!カヴァロの人たちが、あなた達を追い出そうと計画しているの…』
ヌメロスの兵士に、そう告げたい。
ウェンディは彼らが戦いに巻き込まれるのがいやだった。
だから大声を上げようとした。
しかし、ウェンディはどうしても声に出して叫ぶ事が出来なかった。
ウェンディは両手をのどに押し当てた。
声が詰まって、息苦しかった。
「言えない…。」
ウェンディはその場に座り込んだ。
ぎゅっと固く目をつぶり、両手で顔を覆った。
『ごめんなさい、ごめんなさいヌメロスの兵士さんたち!』
涙がぽろぽろこぼれた。
『私、やっぱり言えない。あなたたちが傷付くのは嫌だけど、でも、でももし私が決起の事を知らせたら、ゼノン司令がカヴァロの人たちを傷つけてしまうわ。』
ゼノン司令の冷たい視線を思い出し、ウェンディは身体を震わせた。
「もう限界…。」
自分にはこれ以上のことは出来ない。
『私の力なんて、ちっぽけなものだわ。何も動かせやしない。』
ウェンディは自分を抱くようにそっと肩に手を置いた。
つらい気持ちをなぐさめてくれるのは、やはり歌だった。


「あれは、ウェンディの声じゃないの?」
いつか辺りは暗くなり始めていた。
広場に集まり、今は少し落ち着いて座り込んでいる市民たちが、かすかに聞こえる歌声に気付いた。
「そうだよ、ウェンディだ。歌っているよ。」
しーっという注意が広場を駆け抜け、辺りは大勢の人がひしめいているにもかかわらず、水を打ったように静かになった。
「おや、どうしたんだね?」
これからどうしたらいいのか結論の出ない協議を続けていたデミール市長たちも、広場の様子の変化に気付いた。
じっとしていると、かすかに歌声が聞こえた。
「ああ、あの娘無事なんだわ。」
メリトス女史が感激の面持ちで言った。
「ウェンディも一人で頑張っているんだわ。」
レイチェルも言った。
広場のあちこちですすり泣きが聞こえた。


「ウェンディのいる部屋は、市庁舎の一番西の部屋のようですよ。」
すっかり日が落ちた頃、マイルがデミール市長の元へやって来た。
「高架水路から歌声のする方を探っていたんです。姿は見えませんが、声がしているのは一番西の、高架水路側の部屋からです。」
「そこは資料室だよ。連中、あんなところへ閉じ込めているのだね。」
「まず彼女を救出する算段が付けられそうですね。」
ロッコが明るい声で言った。
予定になかった人質の存在で、ロッコたちの目算は全く役に立たなくなっていたのである。
動くべき方向が見つかった事で、打ち合わせは具体的なものへと進んでいった。
「お疲れさん、マイル。寒かっただろう?」
アヴィンが声を掛けた。
「ううん、全然。アヴィンたちこそお疲れさま。入口の奪取、早かったじゃないか。」
「まあな。」
アヴィンがまんざらでもない様子で答えた。
「アヴィン、マイル、明日の朝、夜が明ける前にウェンディを救出する。アヴィンは囮側、マイルは突入する側に入ってくれるか?」
ロッコが聞いてきた。
「いいとも。」
アヴィンが答えた。マイルはこくんと頷いた。
「よし。それじゃ今夜は交代で休みを取ってくれ。」
「わかった。」

「マイル、先に休めよ。」
アヴィンが言った。
「いいの?」
マイルがホッとした様子で返事をした。
アヴィンが頷くとマイルは遠慮しなかった。
「じゃ、一眠りしたら交代だ。」
マイルはホテル・ザ・メリトスへ向かった。
寒気が忍び寄ってきて、マイルはぶるっと震えた。
ふと顔にかすかな冷気を感じる。
顔を天に向けると、細かな霧雨が降り出していた。
「……。」
マイルはじっと天を睨んだ。
それから足早に、寝床へ向かって走っていった。

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