「迎えに来い  トーマス」

簡単明瞭・・・じゃない!
余計なことは書いてないけど、肝心なことも書かれていない。
キャプテン、今どこにいるの?

「副長、どうしたんです?」
通信文を広げたまま絶句していた僕に気付いて、仲間が声を掛けてくれる。
僕は精一杯の空元気をふりしぼった。
「また鉄砲玉だよ、キャプテン。」
「えーっ。」
げんなりした声がいくつも唱和した。
「ハトの通信管に手紙を入れておくのはやめてって、幾度も頼んでいるのに。」
僕もつい、つぶやいてしまう。
手紙は入っているからと、そのまま飛ばしてしまう結果がこれだ。
どこに来て欲しいのか、いつまでに行く必要があるのか、
こちらにだって情報は必要なのだ。

「降りたのはエネドですよ。」
「そうだけど、何週間も経っているからね。」
そんなやり取りをしながらも、風向きを見、風力を推し量る。
手紙を書き直す時間さえ惜しかったということもありうる。
こんなときは、魔法使いのラップが船を離れていることが恨めしい。
「ポッポ、キャプテンがどこにいたかわかるかい?」
トーマスの定位置、操舵輪にとまっている白ハトに語りかける。
腕を差し出すと、ハトはさっと飛んでルカの手首に止まった。
もしも鳥の言葉がわかったらこんな苦労はしなくてすむかしら。
ハトはルカの気持ちを察したのか、クルックーと一声鳴いた。

「行くしかないよね。」
僕は自分に言い聞かせて、大声で甲板に叫んだ。
「エネドの港、全速前進!」


落書きのときに思い付いて、スケブの端に書き留めたものです。
トーマスってこういうおっちょこちょいをやらかす人じゃないかなって。
で、ルカ君を始めとするクルーのみんなは困っている。
困っているけど、誰も船を下りたりしないあたりが、彼の人徳。
もっとも、ミッシェルさんに泣き付いたりするんでしょうが。
ポッポ以上に気まぐれそうだから、頼りがいがあるんだかどうか。
エネドに付いたときにはいましたっけね。